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株式会社江口高周波

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第5回テーマ

『変圧器の原理と高周波変圧器の特徴』

(1)変圧器の原理
  変圧器は、例えば次の用途などのために、電圧を変えるのに使われます。
用途 目的
送電用 発電所などで発電した電力を効率よく送電するために、50万ボルトなどの超高電圧に上げる。
配電用 発電所などから送られてきた電力を、工場や家庭で使用できる、100ボルトや200ボルトまで、数段階で下げる。
機器用 使用する電気機器の中で、電力を使用する負荷に適合した電圧に変圧する。
 例えば、日本で使用している100V(ボルト)用の電気機器は、アメリカなどではそのまま使用できますが、家庭用の電圧が200V(ボルト)のイギリスやフランスでは使用できません。
その際、旅行用品を取り扱っているお店などで売られている、200Vから100Vに電圧を下げる変圧器を携行すれば、日本で使用しているものがそのまま使えます。
 例えば、図1のように、家庭用のコンセントの100Vの交流電源で400W(ワット)のドライヤーを負荷として使用するとき、電線には4A(アンペア)の電流が流れます。(ここでは、便宜上、力率が1.0とします。)

図1.100Vの電圧でドライヤーを使用する回路
 図2に、同じドライヤーを、200Vの交流電源で、変圧器を使って使用する時の回路を示します。
@  効率よく磁束を発生し易くするために、鉄心の脚に巻かれた巻数N1の1次巻線に、1次交流電圧(ここでは200V)が印加されると、鉄心には、1次電圧と同じ周波数で方向と値が変化する交番磁束が発生します。
 この磁束の大きさは、1次電圧に比例し、1次巻数(N1)と周波数に反比例します。
A  交番磁束が発生している鉄心に、巻数N2で巻かれた2次巻線には、電磁誘導の法則により、電圧が発生し、誘導電圧とも呼ばれます。
 2次巻線に発生したこの誘導電圧の大きさは、鉄心内の交番磁束と、2次巻数(N2)、及び周波数に比例します。
 従って、1次電圧を(N2/N1)倍した電圧が2次電圧となり、N2/N1=0.5だと、この図では、100Vの電圧が2次側に発生します。
 そして図1と同様に、100V、400Wのドライヤーを2次で使用すると、4Aの電流が2次巻線に流れます。
 変圧器の損失を無視すると、変圧器の1次と2次を通過する電力は一定なので、電圧200Vの1次巻線には、2Aの電流が流れます。

図2.変圧器の原理図
(2)高周波変圧器の特徴
  変圧器には、以下の特性があります。
@ 銅損:  1次、2次巻線のジュール損で、高周波になると、巻線の巻方次第で、銅損が極端に増減します。
A 鉄損:  鉄心のヒステリシス損と渦電流損の和で、高周波では、ケイ素鋼板の厚さを薄くする必要があります。
B インダクタンス:  周波数に係らず、漏れインダクタンスが存在しますが、巻線の巻方次第で、漏れインダクタンスが極端に増減します。
高周波加熱に使用する変圧器では、漏れインダクタンスが適正値でないと、加熱用の電源が運転できなかったり、電圧降下が大きすぎて必要な効率が得られないことがあります。
C 静電容量:  周波数に係らず、1次〜2次巻線間、及び、各巻線のターン間に浮遊の静電容量が存在します。
高周波加熱に使用する変圧器では、静電容量が適正値以下でないと、加熱用電源に悪影響を及ぼす場合があります
D 振動・騒音:  周波数によっては、鉄心から過大な振動や騒音が発生することがあります。
その他、高周波電力用変圧器ならではの特徴が多数ありますが、弊社では、
T:
多数の高周波加熱装置の開発を通じで蓄積してきた、回路技術・電源技術のノウハウ。
U:
過去、製作・納入した総数約7000台の高周波変圧器の全数の出荷特性試験のデータベース。
V:
鉄心材料、絶縁材料などの最新データの採取と特性評価。
を通じて、お客様の要求にベストでお答えできる高周波変圧器を一品・一品、設計・製造しています。

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