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◇◇◇◇◇◇VOL-2「高周波誘導加熱と高周波誘電加熱」◇◇◇◇◇◇
本メルマガで「高周波加熱」と表現しているのは、「高周波誘導加熱」のことです。
似たような言葉に、「高周波誘電加熱」というものがあります。
「高周波誘電加熱」は、英語で、「Dielectric Heating」と表現され、
本メルマガで扱う「高周波誘導加熱(Induction Heating)」とは、原理と使用する周波数が全く異なります。
次の図で、誘導加熱と誘電加熱で使用される、おおまかな周波数範囲を示します。
本メルマガで扱う「高周波誘導加熱」では、概略、数MHz以下の周波数が使用されます。
一方、「誘電加熱」では、概略、数MHz以上の周波数が使用され、
1GHzあたりを境にして、これより低い周波数を使用するものを「高周波誘電加熱」
これより高い周波数を使用するものを「マイクロ波誘電加熱」と呼んでいます。
次の表で、「誘導加熱」と「誘電加熱」の違いを整理します。
誘導加熱の原理が、磁界の変化で生じる電流により、導電体が加熱されるのに対し、
誘電加熱の原理は、電界の変化で生じる分子の動きにより、誘電体が加熱されるものです。
誘電加熱の原理を、簡単に説明します。
誘電体は、プラスとマイナスの電荷を持った分子から構成され、通常の電界の無い場所では、
次の図のように、各分子が、向きをばらばらにした状態で存在します。
誘電体に電界が印加されますと、次の図のように、電界のプラス方向に、分子のマイナスが向く方向に、整列します。
満員電車で、全員が、電車の進行方向に向いて整列しているものと考えてください。
電界の向きが変わると、各分子は、180度反対方向に整列します。
満員電車が急に逆向きに走り出して、全員が、向きを反対方向に転じて整列しなおします。
ギュウギュウの満員電車の中で、全員が向きを反対に変える時、お互いの体が触れ合い「おしくら饅頭」のように熱くなります。
誘電体も、分子の向きが一斉に変わることで、摩擦により微小の熱を発しますが、数10kHz程度の周波数で温度があがることはありません。
しかし、1秒間に10億回も方向転換する1GHz(1ギガヘルツ)にもなると、相当の発熱になります。
繰り返しますが、本メルマガでは、「誘電加熱」でなく、「誘導加熱」を扱います。
高周波誘導加熱に関する基礎的な話を出来るだけわかりやすく、不連続テーマ・不定期発行のメルマガで進めてまいります。
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